第3話 オイル添加剤・その1

オイル添加剤は、ほとんどが添加剤大国アメリカからの輸入品です。
”企業秘密”という大義名分の元、成分や効果を発揮するプロセスが公表されていない製品も多く、
絶賛する人がいたかと思えばケチョンケチョンにけなす人もいたり、
いつの間にか姿を消した製品がパッケージを変えて再市販されたりで、
どうにもウサン臭さを払拭できず、
その辺が爆発的なヒット商品の出ない土壌になっているのではないでしょうか。

マイクロロンというオイル添加剤があります。
テフロン系のかなりメジャーな部類に入る製品で、
本来オイル添加剤には向かないテフロンを、エンジン内部の金属表面に定着させるようにした画期的な製品なのですが、
その詳細な成分や作用の明確なプロセスはトップシークレットで、
バイク向けの総発売元であるDr.スダはもちろん、総輸入元である協和興材でさえ教えて貰えないそうです。

マイクロロン


テフロン系添加剤の老舗マイクロロンです。
その評価には賛否両論あるようですが、
私自身はそれほど悪い印象は持っていません。
ただし、使い方がやや面倒で、それを守らないと
トラブルにつながる可能性があります。
詳しくは次号で説明しましょう。





どこかのHPで、イベントレースに出店していたマイクロロンのブースの人を、
テフロンがオイル添加剤に向かない理由を説きながらやりこめた人のレポートが載っていましたが、
明確に答えられないのも無理はありません。教えて貰えないんですから。
無責任といえば無責任ですが、それが現実です。

そんなあいまいさもあって、
オイル添加剤は、積極的に使う人とまったく使わない人がはっきりしています。
使わない人、嫌いな人からは、「そんなにいいものならオイルメーカーがとっくに使っている」とか、
「そもそもオイルにはたくさんの添加剤が入っていて、それでバランスが取れているんだから必要ない」といった意見をよく聞きます。




ガレージにあったオイル添加剤を集めてみました。
左からニューテック、ルーキーUSA、デュラルーブ、
ゾイル、IXLです。ルーキーUSAはあまり知ってい
る方はいないと思いますが、オイルそのものの添加
剤用に売られているのですが、高くてどのメーカーも
使ってくれないので単品販売を始めた製品です。










オイルメーカーは基本的にオイル添加剤がキライです・・・・が

しかし、どんな高級オイルでも一般市販する限りはコストを無視できません。
添加剤の中には、いいのはわかっているんだけど高くて使えないものも少なからずあり、
それが単品でオイル添加剤として市場に出ているケースもあります。

また、某オイルメーカーの開発者とオイル添加剤について話をしたことがあるのですが、
「オイル添加剤はズルイですよね。ある特定の添加剤を増量したりして手っ取り早く性能を上げちゃうんですから」ということで、
言葉のニュアンスからは「トータルバランスは崩れるけど、短期的には性能が上がる」ような話をしていました。

オイルメーカーではクルマ/バイクメーカーが指定する交換サイクルを基準にしていますから、
例えば1万kmとか1万5000kmという自動車メーカーの指定に対して、
3000kmや5000kmでオイル交換するのは、その”短期的”の部類に入るわけです。



オイル添加剤は、最後にひと味加える味の素みたいなもんです

確かに、メーカー指定より短いサイクルで定期的にオイル交換をしていれば、
よっぽどのことがない限りエンジンが壊れることはありません。
年間走行距離1万km程度で5年前後で代替する、日本の平均的な使用状況だとなおさらでしょう。

しかし、そこに「少しでも調子よく走りたい」、「少しでも燃費をよくしたい」、
「長く快調に乗りたい」、「サーキットを走るので保護性能を上げたい」といったプラスアルファを求めると、
より高性能なオイル、そしてオイル添加剤の出番になるわけです。
特にバイクの場合、クルマに比べてオイルに対する要求がシビアですし、
相対的にエンジンの寿命も短かいですから、なおさら頼りたい気持ちになります。

ちなみに私は、どちらかというと添加剤好きの部類に入ります。
仕事の絡みもあって、バイク、クルマを合わせると、エンジンオイル用だけでも20種類近く。
燃料、その他のオイル、フルード用まで含めると、50種類近い添加剤を試しています。

さて、オイル添加剤を使うとして、
それではいったいどんな添加剤を入れたらいいのか、何を基準に選べばいいのか。
これがいちばんの悩みどころではないでしょうか。
添加剤注入


私が比較的好きなオイル添加剤のひとつミリテック1です。
価格が手頃なうえに使い方も簡単で、
バイク(90年型CBR250RR)に入れたときは、
中高速域のトルクアップが体感でき、
ベンチテストでもピークで2PSぐらいアップしました。
ただ、クルマ(オデッセイ)ではほとんど効果を体感できませんでした。






オイル添加剤は、価格的にピンからキリまでありますが、
どんなに安いものでも、入れる限りは何らかの効果がないと意味がありません。
高い物だったら、効いてくれないと頭に来ることもあるでしょう。

固体潤滑剤を使ったり、金属意表面を改質したり、オイルそのものの性能を高めたり、
そのプロセスはいろいろですが、オイル添加剤の最大の目的はフリクションロスの低減です。

フリクション=摩擦抵抗が減れば、
当然エンジンは軽く静かに回るようになりますし、理論的にはパワーもトルクもレスポンスも燃費もアップします。
その辺の効果の度合いから、ある程度オイル添加剤の善し悪しを判断することができます。



●エンジン音が静かになる
エンジンを始動し、ノイズの大きさや出ている場所をよく覚えておきます。
次にエンジンを止めて添加剤を注入し、再びエンジンを始動します。
添加剤がある程度行き渡ってフリクションが減れば、当然ノイズは小さくなるはずです。

距離を走ったクルマは元々エンジンノイズが大きいため、差がわかりやすいと思いますが、
比較的新しいエンジンでもノイズの減少が確認できたら、
そのオイル添加剤は「結構イケルかも」と判断していいでしょう。

「効き目が出るまでに○○kmぐらい走って下さい」という、いわゆる遅効性の製品でも、
この効果だけは添加後数分で現れるケースが多いようです。


●シフトフィーリングが良くなる

ミッションやデフには、金属同士が擦れたり強くあたったりする部分がたくさんあり、
エンジンに比べると添加剤の効果が出やすい状況にあります。

「ミッション等にも使えます」と銘打っている製品なら、
シフトフィーリングがスムーズになる(M/T)、変速ショックが解消する(A/T)、デフ鳴りが収まる、
といった効果が体感できていいはずです。

ミッションで体感効果が引き出せない製品は、ちょっと疑問が残りますね。

エンジンとミッションを一緒に潤滑しているバイクの場合、オイルの状態がシフトフィーリングに影響しやすく、
夏場の渋滞路などでエンジンがヒート気味になると、シフトが固くなってニュートラルが出しにくくなるといった症状が良く出ます。
いいオイル添加剤を使うと、今まで使っていたオイルのままでもスムーズなシフトフィールを維持してくれますから、
その辺を判断基準にするといいでしょう。


●エンジンフィーリングが良くなる
摩擦抵抗が減れば、各運動パーツの動きがスムーズになり、
全体としてエンジンが軽く、スムーズに回るようになります。
クルマでも、マニュアル車なら高回転の伸びが良くなるのを感じられるはずです。

エンジンノイズとシフトフィーリングは、どのオイル添加剤でもある程度の効果が体感できますが、
ここから先は、製品によって効果の出る、出ない、効果の大きい、少ないにかなり差があります。
日々そのクルマに乗っているオーナーとして、五感をフルに働かせてチェックしてみて下さい。

このエンジンフィーリングに関しては、感じ取れる能力に個人差がありますし、
「こいつは効くぞ!」と思えるレベルにも大きな差があります。
ちなみに私は、「結構効くじゃんコレ」と思っても、「ひょっとしたらもっと効くのがあるかも」と、
次の添加剤を物色するたちで、自分でも「あぁ、オレみたいなのがオイルや添加剤の業界を支えているんだな」と思います。


●パワー感、トルク感が上がる
パワーアップ、トルクアップ。これこそが、添加剤メーカーもユーザーも追い求めている効果ではないでしょうか。
ただ、シャシダイナモにでもかけない限り客観的にチェックすることはできませんから、
これもライダー、ドライバーの感覚に頼ることになります。

パワーカーブ





これはIXLというオイル添加剤のテストデータです。
テスト車は1万6000km走行の2ストのバイク(89
年型・後方排気TZR250R)で、中回転域から
パワー、トルク共に向上しているのがわかります。
最大で2.1PS/0.1kg-mアップしました。













最近は、パッケージや説明書にパワーチェックグラフが載っている製品をチラホラ見るようになりました。
また、雑誌の紹介記事でもパワーチェックをしていることがあります。
当然のことながら、添加前を上回るラインが描かれているはずですが、
添加後のラインがどの辺から添加前のラインを上回っているかを見て下さい。

グラフ全体の半分より右(=高回転域)でだけ上回っているようなら、
その添加剤は大したことありません。

というのも、摩擦抵抗によるパワーロスは、高回転になるほど増幅されますから、
ほんのちょっと摩擦抵抗が減っただけでも、高回転域ではそれなりの差になるわけです。
しかし、トップエンドで2馬力、3馬力上がったところで、実走行にほとんどメリットはありません。
グラフの左半分(=低回転域)で上回っているものほど、いい添加剤だと考えていいでしょう。

実走行では、普段よく走る上り坂でチェックしてみてください。
添加前に比べて
「低い回転数で上れる」
「力強く上っていく」
「加速がスムーズになった、あるいは加速できるようになった」
といった効果が体感できたら、その添加剤はイケます。


●燃費が良くなる
最後は燃費です。
フリクションロスが減少すれば、今までより少ないアクセル開度で同じ走りをすることができますから、
当然燃費が良くなります。

ただ、パワー感がアップすると面白がってついついアクセルを開けてしまうこともありますし(私がそうです)、
そもそも、燃費は、乗車人数や走行状況、エアコン使用の有無などによって2〜3km/Lぐらい平気で変わります。
給油するスタンドマンによってガソリンを入れる量にも差があります。

7.9km/Lと8.1km/Lとでは、たった0.2km/Lの差でも心理的にかなり違いますが、
これくらいの差はスタンドマンのさじ加減で簡単についてしまうことを忘れないで下さい。



普段よりいいオイルを入れた場合も同じような効果が得られますが、
オイル交換の度にいろいろなケースを試してみて、、
「いいオイルを入れたときよりもフィーリングが良く、しかも長続きする」
「いいオイル入れたうえで、添加したらもっとよくなった」といった印象が得られれば、
その添加剤は大当たりと考えていいでしょう。



少し長くなってしまいましたので、
オイル添加剤の成分による考察、
効きやすいバイク/クルマ、効きにくいバイク/クルマは、
第4回「オイル添加剤・その2」でお送りします。