第5話 エアクリーナーの清掃と交換

ご存じの方も多いと思いますが、
エアクリーナー(エレメント)というのは、エンジンに吸い込まれる空気中に含まれたゴミや塵を、
キャブレター(最近はインジェクションもありますね)の手前で取り除くパーツです。
身近なものに例えるなら、マスクでしょうか。
マスクが使うほど汚れるのと同じように、
エアクリーナーも、走行距離が増えるに連れて汚れて行きます。

汚れが許容限界を越えて目詰まりを起こすと、
空気の通りが悪くなってパワーダウンや燃費低下を招くので、
定期的に掃除するなり交換が必要になります。


エアクリーナーには3タイプあります

バイクに使われるエアクリーナーには、乾式ビスカス式湿式の3タイプあります。

乾式は、不織布をジャバラ状に折り畳んだもので、一部の4ストロークエンジンに使われています。



白く、表面がサラサラしているのが
乾式の特徴です。





ビスカス式は、形状は乾式と同じですが、吸塵効果を高めるために不織布にオイル分を含ませてあり、
4ストロークエンジンの大部分に使われています。



ビスカス式は、表面をなでると指先に油分が付着します。
色は汚れの目立ちやすさからオレンジがグリーンが採用
されています。




湿式は、スポンジにオイル分を含ませたもので、
すべての2ストロークエンジンのほか、一部の4ストロークエンジンにも使われています。



湿式は、単体で見れば何の変哲もないスポンジです。
オイルを含ませないと吸塵能力がガタ落ちになります。





エアクリーナーの形は、吸気系統やエアクリーナーボックスの形状によって変わってくるため、
原則として車種別専用に設計されており、一部を除いては互換性はありません。
ただし、湿式に限っては、愛車のエアクリーナーの形に切り取って使用する、
汎用製品が売られています。


種類によってメンテナンス方法が違います

実際のメンテナンスですが、これはエアクリーナーのタイプによって異なります。

まず乾式ですが、走行5000kmごとに、
軽く叩くなり、キャブ側から高圧エアを吹き付けるなりしてゴミを落とせば、
繰り返し使用することができます。

そう言うと半永久的に使えるように思われるかもしれませんが、
実際は、不織布の目に絡んだ小さなホコリや塵は、エアで吹いても完全には落ちませんし、
車種によっては、キャブからの吹き返しでエアクリーナーが湿り、それが増長されます。

本来の性能を保つためには、5000kmごとに清掃しつつ、
2万kmで交換した方がいいでしょう。


次にビスカス式ですが、これは不織布にオイル分が含まれているため、
軽く叩いたり、高圧エアを吹き付けたぐらいでは、汚れはほとんど落ちません。

事実上、清掃したくてもできないため、
乾式のように途中で清掃せずに、
走行距離に応じて交換する事になります。





左が新品で、右が走行約1万kmのビスカス式エレメントです。
比較すると汚れているのが一目瞭然ですが、レベル的には
距離相応で、メーカー指定の2万km近くまで使えそうです。






メーカー指定の交換時期は、多くの車種で2万km前後に設定されていますが、
今までの経験上、その3分の2ぐらいの距離で交換した方が良いようです。


最後に湿式ですが、これは保守にいちばん手間がかかるものの、
3種類の中ではもっとも長く使うことができます。

走行3000〜5000kmごとに、洗油に浸して汚れを押し出すように洗い、
ウエスで拭くなどして洗油分を飛ばしてから、
2ストローク車の場合は2ストロークエンジンオイルを、
4ストローク車の場合は4ストロークエンジンオイルを少量かけて、
揉むようにして全体に馴染ませれば完了です。





パレットにエレメントが浸る程度の灯油を入れ、
その中で押すようにして汚れを落とします。
スポンジを痛める原因になるため、洗うときも
乾かすときも、雑巾絞りは厳禁です。









含ませるオイルの量はエレメントの大きさによっても違いますが、
大体20ccぐらいでしょうか。写真のようにビニール袋の中で揉む
と手が汚れません。仕上げにきれいなウエスで包んでひと揉み
すると、余分なオイル分が取れます。






洗油には、タンクから抜いたガソリンを使われる方が多いと思いますが、
ガソリンはスポンジを痛めますし、引火性も強くて危険なため、
できれば灯油を使うことをおすすめします。
ガソリンに比べて揮発性が低いため、乾かすのに多少時間がかかりますが
ガソリンよりも安価で安全です。

ただし、灯油を使っていてもスポンジの劣化は進みますから、
清掃の度に軽く引っ張ってみて、簡単にちぎれないかどうかチェックして下さい。
完全に劣化すると、ちぎれるどころか、
ちょっとしたショックでグズグズと崩れて粉のようになってしまい、
エンジンに吸い込まれてしまう可能性もあるので注意して下さい。


作業性は車種によって大きな差があります

このように、エアクリーナーの清掃や交換はいたって単純です。
湿式にしても、手間がかかるだけで難しいことはありません。

問題があるとすれば、エアクリーナーにたどり着くまでの手間です。
中には、サイドカバーを外すか、シートとバッテリーを外す程度で
エアクリーナーが抜き取れるバイクもありますが、
燃料タンクを外さないと作業できないバイクもたくさんあります。
前傾シリンダー+ダウンドラフトキャブのバイクは、
100%このタイプと考えていいでしょう。





これはCB400SFのエアクリーナーです。
エアクリーナーケース横のカバーを外す
だけで、筒状のエレメントが簡単に抜き
取れます。






燃料タンクの脱着は、慣れればどうってことのない作業ですが、
車種によっては燃料チューブを抜くのが結構面倒ですし、
少量ながらガソリンがこぼれますし、
ガソリンが入っているとタンクは想像以上に重いですし、
初めのうちは結構プレッシャーかもしれません。





車種によって異なりますが、ボルト数本を外して
後部を持ち上げ、その状態で燃料チューブと負圧
チューブ、燃料計のカプラーなどを外して・・・・と、
タンクの取り外しは結構面倒です。





作業に自身がなく、工具も揃っていないなら、
無理に自分でやらずに、交換時期だけ自分で判断し、
作業自体はショップに任せた方がいいかもしれません。
タンクにキズでもつけると、結構落ち込みますよ。