第1話 エンジンオイルとフィルターの交換

皆さんはどこでオイル交換をされているでしょうか。
おそらくオートバックスやイエローハット、ドライバースタンドといった
大手カー用品店で交換されている方が多いと思いますが、
そういったショップでは500円の会費を払えば1年間オイル交換工賃無料とか、
オイルを買えば交換工賃は無料といったシステムを導入しています。



オイル交換ぐらいは自分でやりたいけど・・・・

20年近く前、私がクルマに乗り始めた頃は、大手カー用品店自体が少なく、そんな料金システムもなかったので、
オイルだけ買って来て自分で交換すると、それなりに安くあがったものですが、
今となっては廃油処理ボックスの値段なども考えると、
経済的なメリットはほとんどないか、逆に高くつくことさえあります。

さらに、最近のクルマはジャッキアップしないと満足にドレンが回せなかったり、
オイルフィルターを外すのにクルマの下に潜る必要があったり、どんどんDIYに向かなくなっています。
設備が整わない状態での作業は危険を伴うので無理は禁物。

何から何まで自分でやらなくても、
走行状況や距離に応じて交換時期を決め、
オイルを選び、作業だけをプロに依頼するのも、立派なメンテナンスです。

スロープ





整備用のリフトスロープ。
これがあれば大抵の作業はできますし、
価格も10.000円前後とリーズナブルですが、
何しろ邪魔です。





あなたは何kmで交換してますか?

さて、オイル交換でいちばん気になるのは交換サイクルではないでしょうか。
メーカーの指定する交換時期は、
ガソリンのNAエンジンで10,000〜15,000q(または6ヶ月〜1年ごと)、
ターボエンジンで5,000q(または6ヶ月ごと)、
ディーゼルエンジンで5,000q(または6ヶ月ごと)というのが一般的。

高回転域を長い時間キープする、短距離短時間走行が多い、不整地走行が多いといったクルマは、
いわゆるシビアコンディション車として、その半分の距離での交換を指示しているメーカーもあります。

一方、大手カー用品店やカーショップあたりでは3,000〜5,000qでの交換を推奨していますし、
私が知る限りではユーザーレベルでも5,000qごとに交換している人が多いようです。

以前「10,000qごとにオイル交換して来た」という走行80,000q少々のコロナを整備したとき、
オイルフィラーキャップから見えるカムシャフトがアメ色に色づいていたのに対して、
当時私の乗っていた10万qオーバーのセフィーロ(5,000qごとにオイル交換)のカムは、
地のままの色をしていて、「へぇ、こんなに差が出るんだぁ」と思ったことがありました。

その後、セフィーロが12万qオーバーでエアコンのコンプレッサーが焼き付いて手放すまで、
誰に乗せても「このエンジン元気だねぇ」と感心されたのは、
5,000qごとにしっかりオイル交換して来た影響が大きいと思っています。


フィラーから見えるカム


フィラーキャップを開けて中を覗き込むと、
今までのオイル交換遍歴が垣間見える。
オイル交換をさぼっていたクルマは、
例外なくアメ色から茶褐色に色づいています。







そんな経験もあって、私は5,000qごとのオイル交換を薦めています。
ただ、熱的にシビアなターボエンジンと、
ブローバイガスに含まれる硫黄分がオイルの劣化を進めるディーゼルエンジンは、
この5,000qを上限として、もう少し早めに交換した方がいいでしょう。

前述のシビアコンディション車は、ガソリンのNA車なら同じ5,000qでさほど問題ありませんが、
ターボ車とディーゼル車は3,000qぐらいでの交換をお薦めします。
ターボとディーゼルは、オイルがヘタるとマジにエンジンが壊れるので注意しましょう。

実はターボ車とディーゼル車は今までに所有した経験がなく、
自分の目とフィーリングで確認できていません。
現在、99年3月に購入したディーゼルターボのエルグランドで、
いろいろとデータを集めていますので、
今後体験に基づいたレポートができると思います。



「6ヶ月ごとに交換」の真意は

メーカー指定にも「距離を走っていなくても6ヶ月ごとには交換」とありますが、
その理由はよく言われるように空気に触れてオイルが酸化するためではありません。
以前、大手石油メーカーの研究員に伺ったのですが、
「低い温度(=常温)で空気に触れるのは大した問題にはならない。怖いのは空気中に含まれる水分です」ということでした。

メーカーの技術者に確認したわけではありませんが、
「走行距離が少ない=短距離短時間走行が多いかもしれない」という予測から、
オイルに水分が混入する可能性を考えて6ヶ月としている線が濃厚です。

シビアコンディションのひとつにも指定されているこの短距離短時間走行というのは、
1回に10q、15分程度の走行を繰り返す走り方のことで、
エンジンブロックが完全に暖まる前に止めることになるので、
一足先に暖められたエンジン内の空間にある水蒸気が、
暖まりきらないエンジンブロックの内壁に結露しやすく、
それがオイルに混入して寿命を大幅に縮めてしまいます。

”奥さんが主に買い物に使っているセカンドカー”あたりが、
そのパターンに当てはまることが多いと思うので注意して下さい。


オイルと並ぶ重要な潤滑系パーツであるオイルフィルターは、
オイルがエンジン内を潤滑する途中で取り込んだ金属粉や燃焼にともなう生成物を濾過するパーツで、
オイル2回に1回の割合で交換するのが基本です。

オイルをマメに交換していればフィルターが汚れる度合いは少なくなりますが、
万が一目詰まりを起こすと、リリーフバルブが開いて汚れたオイルがそのまま素通りする構造になっているので、
その辺の安全マージンを考えると2回に1回の割合で交換した方がいいでしょう。

オイルフィルター




カー用品店で売られているオイルフィルターは、
純正品に比べて中身の濾紙の面積が小さいケー
スもあるようですが、10,000qごとに交換する
なら実害はありません。







交換前の暖機はお好みで

実際の交換作業ですが、
まずドレンボルトをチェックしてオイルのにじんだ跡がないか見て下さい。
にじみ跡があったらドレンパッキンの交換時期なので、
あらかじめ用意しておきましょう。
ディーラーで1個30〜50円ぐらいで購入できます。

次に、十分な容量のあるパレットか廃油処理箱を下に置いて、
ドレンボルトを外して古いオイルを排出します。

ドレンを外す前に2〜3分アイドリングさせてオイルを軽く暖めると抜けやすくなりますが、
エンジンをかけるとせっかくオイルパンに落ちたオイルが、
ヘッドに回って抜ける量が減ることにもなります。

いずれにしてもオイルが全量抜けることはないので、
それほどこだわることはないでしょう。

私個人としては、交換前にあえてエンジンをかけることはしません。
ちなみに、エンジンを止めてから約4時間で、
カム回りのオイルはほとんどオイルパンに落ちるそうです。

しばらく放置して、ドレンからオイルがポタッ、ポタッとタレる程度になったらドレンボルトを締めますが、
このときドレンボルトの根本にパッキンがついていることを必ず確認して下さい。
ない場合は、オイルパンに張り付いているか、廃油の中に落ちている場合があります。

ドレンボルトの締め付けトルクは4.5kg-m前後。
締めすぎるとオイルパンが割れたりボルトが折れたりして、
とんだ大仕事になるので十分注意して下さい。



今のクルマはフィルター交換が難題

オイルフィルターを交換する場合はここでやります。
オイルフィルターレンチという専用工具を使ってフィルターを左に回して外し、
新しいフィルターのパッキン面に薄くオイルを塗ってから取り付けます。

締め付けトルクは指定されていますが、
パッキンが取り付け面に接触してから1回転ぐらい締め付ければOKです。
ここも締めすぎには十分注意して下さい。
フィルターを外すとオイルが少量出てきますから、下にパレットを置いておきましょう。

ただ、今のクルマは下に潜らないとフィルターが交換できないケースが増えています。
DIYレベルだと、そもそもクルマをリフトアップすることが難しいですから、
フィルター交換を伴うときだけでもプロに任せるといいでしょう。



最初はちょっと少な目に入れるのがポイント

新しいフィルターを取り付けたら、
取扱説明書に書かれているオイル量より500ccほど少な目のオイルをジョッキに入れ、
オイルフィラーから注入します。
一度フィラーキャップを締めて2〜3分エンジンをアイドリングさせ、
さらに2〜3分置いてからオイル量をチェックします。

ペットボトルをじょうごに使う



ペットボトルの頭3分の1ぐらいを
切り取ってジョウゴ代わりにすれば
オイルジョッキがなくても4L缶か
ら直接オイルが入れられます。
ただし、入れる量はカンに頼ること
になりますが・・・・。






レベルゲージを抜いて先端のオイルを拭き取り、
再度根本まで差し込んでから抜いて先端に付着したオイルの跡を見ます。
2本のライン、あるいは2個の穴の間、格子模様が刻んである範囲にオイルの付着面があれば適量です。
足りなければ注ぎ足すだけで済みますが、
多いと抜くのが大変なので、最初は少なめに入れておくわけです。



無理な作業は絶対に禁物!

初めにも触れましたが、クルマの下に潜る場合には、
リジッドラック(通称ウマ)やスロープなどを使って確実にクルマを上げて下さい。
車載のパンタグラフジャッキは皆さんが思っている以上に不安定で、
横方向から力が掛かると簡単に倒れてしまいます。
潜っている間にジャッキが倒れるとシャレになりませんから、
絶対に無理はやめましょう。

角材に乗り上げる



10p四方ぐらいの角材の片方を斜めに
切り落とすと簡単なスロープになります。
下に潜るには高さが足りないものの、
最低限オイル交換はできるようになります。