第5話 エアクリーナーエレメントの点検と交換

車載工具からドライバーやスパナが次々に消えていることからも伺えるように、
今のクルマはユーザー自身がイジれるところがどんどん減っています。
オイル交換ひとつとっても、リフトアップしないとドレンボルトに手が届かないクルマが増えてますし、
V6エンジンのプラグ交換なんかDIYじゃ絶望的です。
そんな状況の中、工具不要、あるいはごく一般的な工具で、
誰にでも簡単に交換できるのがエアクリーナーエレメントです。

エアクリーナーエレメントは、空気中に含まれるゴミやチリなどを取り除いて、
キレイににしてからエンジンに送り込むためのもので、
身近なものに例えるなら花粉マスクのようなパーツです。

走行距離に比例して汚れていくので、定期的な点検と交換が欠かせません。
プロに交換を任せても大した工賃はかかりませんが、
新しいエレメントはカー用品店で簡単に手に入りますし、
現在のクルマでは数少ない、鼻クソほじりながらでもできる簡単な作業ですから、
ぜひDIY交換にチャレンジして欲しいものです。


指定交換時期の半分で要チェック

現在、国産車に使われているエアクリーナーエレメントは、
ジャバラ状に折り畳んだ不織布にオイル分を含ませた、
ビスカス式と呼ばれるタイプが主流になっています。

それ以前の主流で、今も外国車でよく使われている乾式(不織布を折り畳んだだけのもの)は、
エアガンなどでゴミを吹き飛ばして再使用することができましたが、
ビスカス式ではオイル分がホコリやチリを吸着するため、
エアガンで吹いても汚れは落ちません。

従って、途中清掃せずに、時期が来たら交換することになります。
ちょっと不経済な気もしますが、乾式も永久に使えるわけではないので、極端には変わりません。

交換時期は、車載の取扱説明書のほか、
エアクリーナーの近くに貼られているステッカーにも書かれていますが、
だいたい走行4万〜6万kmごとというのが一般的です。




左が新品で右が走行2万km強の
エアクリーナーエレメント。
右はベース色がグリーンなので、
ものすごい汚れているように見えますが、
もう1万kmぐらいは走れそうです。
ちなみにメーカー指定交換時期は4万kmごと。






ただ、今までいろいろなケースでエレメントをチェックして来た経験からいうと、
交換指定距離の半分を超えるとかなり汚れますから、
実質的には指定の3分の2ぐらいの距離で交換した方がいいようです。
未舗装路を走る機会の多いクルマは、もう少し早めの方がいいかもしれません。

いずれにしても、交換指定距離の半分ぐらいで1度チェックして、
その汚れ具合から残りの使用距離を決めるのが確実でしょう。

仮に指定距離まで使った場合、
ガソリン車は、外見的、体感的にはせいぜい加速がもたつく程度ですが、
ディーゼル車、特にターボディーゼル車に関しては、排気ガス中の黒煙の量が明らかに増えます。
何かとディーゼル排気の黒煙が話題になっている昨今、
ディーゼル車オーナーは指定距離の半分での交換を心がけていただければと思います。




左が新品で右が指定交換時期の半分ちょっと走った
エルグランド(3.2Lディーゼルターボ)のエアクリーナーエレメント。
上の写真に比べて一見きれいに見えるものの、
実際は”ウワッ”というほど汚れています。








交換作業はいたってカンタン

冒頭にも書きましたが、エアクリーナーエレメントの交換は、
どんどんイジリ難くなる現在のクルマの中では、稀少なぐらい昔のままの整備性を保っています。
ズブのシロウトの方でも、恐らくこれだけは交換できるでしょう。

手順は車種によって多少異なりますが、
いちばん簡単なものは、エアクリーナーボックス周囲のクリップを外し、
カバーを開けるだけで交換できます。

ものによっては、インテークマニホールドにつながるゴム製ダクトの接続を外さないと、
カバーが動かない場合がありますが、
それにしてもダクト接続部のバンドを緩めるだけで済みます。
ただ、古いクルマはゴムが硬化しているので、無理してクラックを入れたりしないように注意して下さい。

また、クリップの代わりに、ビスでカバーが固定されているクルマもあります。

整備を生業としている方々には及ばないものの、今まで数え切れないぐらいエアクリーナーエレメントを交換して来ました。
その中で「こりゃ面倒だな」と思ったのがオデッセイ(RA1/2)でした。




初期型オデッセイのエアクリーナーエレメント交換。
そもそもビス止め、ということ自体が面倒な部類に
入るうえに、写真で回しているビスが微妙に斜めに
なっていて、結構気を使いました。








まずクリップを引き抜いてガードカバーを外し、それから4本のビスを抜いてカバーを開けるのですが、
1本のビスが妙な場所に妙な角度でついていて、
ヘッドライト上のボディパネルの穴をふさいでいる樹脂キャップを外し、
そこから軸の長いドライバーを差し込まないとビスが回せませんでした。

面倒とはいってもそれだけのことですから、手が出ないようなことはありません。
私が知らない範囲で超面倒なものがあるかも知れませんが、
原則としてエアクリーナーエレメント交換は簡単な作業と考えていいでしょう。


スポーツクリーナーについて

カスタム&チューニングパーツの1つとしてスポーツクリーナーがあります。
純正と同じ形状で空気抵抗を減らしたトレードインタイプと、
ノーマルのエアクリーナーをボックスごと取り外して装着する、
通称キノコタイプがありますが、
単純にエアクリーナーを交換するだけで他に手を入れないなら、
前者のトレードインタイプがおすすめです。

というのも、キノコタイプの場合吸入口がエンジンルームの中に露出するため、
どうしてもエンジンの熱気を吸い込んでしまい、
結果的にパワーダウンしてしまう可能性が高いためです。

暖まった空気は膨張していて、単位あたりの酸素分子数が少ないため、
それを吸い込むと思うようにパワーが上がらないのはわかっていただけますよね。

本人が良ければそれでいいのですが、
かつて2輪とはいえレースをやっていた立場からすると、
遮熱板もつけずにキノコ型スポーツクリーナーを装着しているクルマを見ると、
「おい、おい、おい」と思うのは確かです。